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今回採り上げる話題

8月6日に、一般社団法人日本食品・バイオ知的財産権センター(JAFBIC)様主催の特別講演会に登壇させて頂きました。タイトルは「商標によるIPランドスケープの実践 ~特許分析との対比で導き出す、食品業界のブランド戦略~」でした。

近年は「IPランドスケープ」という言葉が定着し、知財情報を分析して事業・研究開発・知財戦略の方向づけを考えることが、すっかり常識になってきました。

ただ、「IP(知的財産)ランドスケープ」と言いつつ、その実態は、ほぼ特許であることがほとんどです。知財には、商標や意匠など他の領域もあるのに、なぜこれらのデータはあまり使われてこなかったのでしょうか。

特に商標のデータは、実ビジネスに直結した情報です。特許のように抽象的ではなく、しかも最新の情報まで見られるため、活用できれば強力な武器になります。一方で、具体的すぎるがゆえに情報として扱いにくい、という難しさもあります。そこで、生成AIを上手く使うことで商標の情報活用を現実のものにできないか、という方法を今回の講演でお話しさせて頂きました。

そのときの講義資料を、生成AIを使って一枚の絵にまとめたものがこちらです。概略をイメージして頂けるかと思います。

特許分析だけでは見えにくい『次の打ち手』を商標情報で補完するという講演内容を一枚にまとめた図。特許分析でターゲット小分野を絞り込み、商標分析で具体的な商品・ブランドを把握し、競合・自社の将来予測から自社の打ち手を導く流れを示している。
分析のウラ話

今回の講演会は、食品業界の方々向けでした。食品業界では、特許よりも商標の出願数が多い企業様が多く、個人的には、特許中心の分析だと、何か足りない感覚をずっと抱えていました。そのため、長年、商標を情報分析に使えないかと考えてきました。

商標の情報活用というと、新製品・新サービスの動きをいち早くキャッチしたり、競合の商標がこれまでとは違う商品区分にまで出されているのを知ったり、という個別的な使い方が多かったように思います。もちろんそれも有益なのですが、私はもう少し全体を俯瞰する形で活用できないかを考えてきました。

加えて昨今は、生成AIの能力が格段に上がっています。そこでAI活用を前提に、実現できないものかと検討を重ねてきました。

たどり着いたのが、先ほどの図で示したとおり、入口として特許分析を行うという発想です。膨大な商標を全て確認するのは現実的ではないため、検討すべき対象を特許分析で絞り込み、その範囲で商標を分析していきます。

さらに、絞り込んだ範囲の中で、競合や自社の商標を、実製品の機能や特徴といった観点で振り分け、各社の特徴を見ていきます。このあたりはAIをフル活用しつつ人の目も併用し、実際にはかなり泥臭い作業も含まれていて、自動でポンと出せるような単純な工程ではありません。それでも、AIがあることで現実的に使える形になったと感じていますし、受講頂いた方々の反応からも手ごたえを得ることができました。

こうした特許分析と商標分析のハイブリッドが効果を発揮しそうなのは、食品業界のように特許より商標が多い業界、商標出願の多いBtoC企業、変化が早く1年半未公開の特許データだけでは物足りない業界などかと思います。

私の場合、基本は特許の情報分析ですが、今回の講演の準備を通して、判断に役立つ情報であれば領域にこだわらず取り入れていきたい、と改めて感じました。慣れない情報を前にすると、つい食わず嫌いになりがちですが、昨今は生成AIという心強い味方もあります。これからも、使えるものは前向きに学びながら、視野を広く持っていける自分でありたいと思うきっかけになりました。